シンガポールで「野鳥がよく見られる公園」を探しているなら、まず名前が挙がるのが
Bidadari Park(ビダダリパーク)です。
ここは、かつて墓地だった場所が生まれ変わった、少し特別な公園。
その静かな環境と豊かな緑が、今では多くの野鳥たちを引き寄せています。
特に、渡り鳥のシーズンには思わぬ出会いもあり、
「都市の中でここまで見られるのか」と驚かされる場所のひとつです。
長らく立ち入りが制限され、“幻の野鳥スポット”とまで言われていたこの場所は、
2024年9月3日、ついに全面オープン。
かつての“聖地”は、今や誰でも訪れることができる新たな探鳥スポットへと生まれ変わりました。
この記事では、
・見られる野鳥
・おすすめの時期
・なぜ野鳥が多いのか(歴史背景)
を、これから訪れる方にも分かりやすくまとめています。

気になる方は、ぜひ最後までチェックしてみてください。
ビダダリパークで観察できる野鳥
Bidadari Parkは、特に「渡り鳥の飛来地」として知られていますが、年間を通して観察できる美しい野鳥も数多く生息しています。
園内では、シンガポールで見られる代表的な野鳥の多くに出会うことができ、初心者からバードウォッチャーまで楽しめる環境が整っています。
1. 一年中見られる鳥(Resident Birds)

ブッポウソウ|シンガポールでは留鳥
- アオショウビン(White-throated Kingfisher)
- ナンヨウショウビン(Collared Kingfisher)
- ブッポウソウ(Oriental Dollarbird)
- マダラナキサンショウクイ(Pied Triller)
- シキチョウ(Oriental Magpie-robin)
- コアオバト(Pink-necked Green Pigeon)
- ルリノドハチクイ(Blue-throated Bee-eater)
- シロクロコサイチョウ(Oriental Pied Hornbill)
- オビロヨタカ(Large-tailed Nightjar)
その他、シンガポールではおなじみの鳥、
- 色鮮やかな太陽鳥(サンバード)
- 群れで行動するメグロヒヨドリ
- 街中でも見かけるカノコバト
- 小さく素早い動きが特徴の裁縫鳥(テーラーバード)
など、バリエーション豊かな鳥たちを観察することができます。

マダラナキサンショウクイ(Pied Triller)

水浴びをするルリノドハチクイ

オビロヨタカ|公園内に最低でも2羽います
2. 渡り鳥(Migratory Birds)

アカショウビン 2026年3月撮影
10月頃になると、シベリアや中国、日本などから渡り鳥が南下し、
3月頃までの間、Bidadari Parkは一気に賑わいを見せます。
この時期は観察チャンスが増えるため、多くのバードウォッチャーやカメラマンが訪れるハイシーズンです。
カワセミ類(Kingfishers)
- アカショウビン(Ruddy Kingfisher)
ビダダリパークを代表する存在。
「ここに来れば見られるかもしれない」と言われるほど、長年安定して観察されています。
2024年の再オープン以降も多くの撮影記録があり、2026年もその姿は健在です。 - ミツユビカワセミ(Oriental Dwarf Kingfisher)
出会えたら幸運なレア種。
毎年見られるわけではありませんが、2024年には複数回の目撃情報があり、期待が持てる存在です。 - カワセミ(Common Kingfisher)
日本ではおなじみのカワセミも、シンガポールでは渡り鳥。
園内の池では、魚を狙って狩りをする姿が観察されています(2026年記録あり)。
ヤイロチョウ(Pittas)
ここでは、2種類のヤイロチョウが飛来しています。
- ミナミヤイロチョウ(Blue-winged Pitta)
- ズグロヤイロチョウ(Western Hooded Pitta)

ミナミヤイロチョウ(Blue-winged Pitta)
ヒタキ・ツグミ類(Flycatchers,Thrushes)
ヒタキ類やツグミ類も通過時に立ち寄ることが多く、タイミングが合えば比較的観察しやすいグループです。
過去には、マミジロやオレンジジツグミの飛来記録もあり、再開発前から渡り鳥の重要な立ち寄り地であったことがうかがえます。
- ムギマキ(Mugimaki Flycatcher)
- サンコウチョウ(Amur Paradise Flycatcher)
- マミジロキビタキ(Yellow-rumped Flycatcher)
- カラオオルリ(Zappey’s Flycatcher)
- マミチャジナイ(Eyebrowed Thrush)
- オレンジジツグミ(Orange-headed Thrush)
- マミジロ(Siberian Thrush)

マミジロキビタキ♀とインドネシア月桂樹の花
9月末撮影

日本でもお馴染みムギマキ
モズ類(Shrikes)
2種類のモズが飛来します。
- チゴモズ(Tiger Shrike)
- アカモズ(Brown Shrike)

チゴモズ

アカモズ
トケン類・オウチュウ(Cuckoos,Drongo)
- オウチュウカッコウ(Square-tailed Drongo-Cuckoo)
- インドシナジュウイチ(Hodgson’s Hawk-cuckoo)
- ハシブトオウチュウ(Crow-billed Drongo)

ハシブトオウチュウ
3. 猛禽類(Raptors)

カンムリワシ(Crested Goshawk)
高い木が残るビダダリパークは、獲物を探すタカたちの絶好のポイントです。
特に人気なのが、クロカッコウハヤブサ(Black Baza)です。
複数飛来するので、シャッターチャンスはあるかも?
- クロカッコウハヤブサ(Black Baza):渡鳥
- ハチクマ(Oriental Honey-buzzard):渡鳥
- カンムリワシ(Crested Goshawk)
- マレーモリフクロウ(Spotted Wood Owl)
- コノハズク(Oriental Scops Owl):渡鳥

ハチクマ
ビダダリパークについて

ビダダリパークは、かつてシンガポール最大級の多宗教墓地(ビダダリ墓地)があった場所です。
墓地として現役だった時代(特に1960年代〜80年代)から、ビダダリはすでにシンガポール屈指の野鳥の宝庫でした。
なぜ当時からそれほど多くの鳥がいたのかその理由を紐解くと、当時のシンガポールの環境変化が見えてきます。
1960年代から70年代にかけて、シンガポールは急速な都市化を遂げ、周囲の森が次々と住宅地(HDB)に変わっていきました。
周囲の開発が進めば進むほど、手つかずの樹木が残るビダダリ墓地は、行き場を失った鳥たちや、渡りのルート上で緑を探す鳥たちにとって、より一層目立つ「オアシス」となっていったのです。
公園の歴史:墓地から都市のオアシスへ
墓地の時代:1907年~2004年まで、キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教などの墓地として使われていました。
自然の再生:2000年代初頭に墓地が改葬された後、しばらく更地のまま放置されたことで、二次林や草原が広がる豊かな自然環境が形成されました。この時期に野鳥が増え、バードウォッチャーの間で「聖地」として知られるようになりました。
再開発と再開園:2010年代半ばから、周辺の住宅地(HDB)開発に合わせて公園も整備工事に入り、一般の立ち入りが制限されていました。そして2024年9月3日、約13ヘクタールの広さを持つ新しい公園として、リニューアルオープンしました。
なぜ野鳥が集まるのか:渡り鳥の重要な中継地
ビダダリパークは、シンガポールでも有数の野鳥スポットです。その理由はいくつかあります。
東アジア・オーストラリア渡りルートの拠点:ビダダリパークは、北半球から南へ向かう渡り鳥たちの重要な休息・燃料補給地(ストップオーバー)になっています。
多様な植生と地形:かつての墓地時代の古い樹木が残されており、猛禽類が羽を休める高い枝や、小鳥が好む藪が混在しています。
暗い夜の環境:周囲が学校や静かな住宅地に囲まれていたため、夜間に移動する渡り鳥にとって、光害の少ないこのエリアは非常に見つけやすく、安全な休息場所だったと考えられています。
政府の政策:自然と都市の共生
シンガポール政府(NParksやHDB)は、この場所を単なるレクリエーション施設ではなく、「自然の中のコミュニティ」というビジョンの象徴として整備しました。
感度の高い環境整備:開発にあたり、バードウォッチャーや自然保護団体(シンガポール自然協会など)の声が反映されました。例えば、鳥たちの生息地を壊さないよう、既存の古い樹木を300本以上保存し、鳥を驚かせないような通路の配置や観察ポイントが設計されています。
猛禽類の巣台(Raptor Nest Platform):公園内には、猛禽類が営巣しやすいように高さ20メートルの専用プラットフォームが設置されました。これはシンガポールの公園でも珍しい試みです。
治水機能の統合(ABC Waters):園内のAlkaff Lake(アルカフ・レイク)は、美しい景観を提供するだけでなく、大雨の際の雨水貯留池としての機能も持たせており、都市の洪水対策と自然保護を両立させています。
歴史の継承:かつての墓地の歴史を忘れないよう、古い門柱や記念碑などを残したメモリアル・ガーデン(追悼の庭)も整備されています(2025年末に完全完成予定)。
アクセス

Bidadari Parkは、MRT駅に隣接しており、公共交通機関でのアクセスが非常に便利です。
最寄りは
Woodleigh MRT Station(徒歩すぐ)
で、初めて訪れる方でも迷いにくい立地です。
また、ビダダリパークを含めて効率よく探鳥したい場合は、
Paya Lebar MRT Station周辺で宿泊するのもおすすめです。
複数の路線が利用できるため移動がしやすく、空港からのアクセスも良好。
さらに、比較的リーズナブルなホテルが見つかりやすいエリアでもあります。
MRTで行く場合
最寄り駅は、North East LineのWoodleigh(ウッドレイ)駅かCircle LineのBartley(バートレイ)駅です。
①Woodleigh駅(NE11)からのアクセス
- 出口AまたはBから地上に出ると、目の前がすでにビダダリの再開発エリア
- 新しく整備された遊歩道が駅前から続いており、駅から公園までは徒歩約5分程度
②Bartley駅(CC12)からのアクセス
- 出口A(Bidadari Park Drive方面)
- 徒歩約12分で公園の入り口に着く
バスで行く場合
公園を囲む主要道路(Upper Serangoon Road および Bartley Road)沿いに、多くのバス停があります。
Upper Serangoon Road 沿い(ウッドレイ駅付近)
- 停車する主なバス番号:13, 107, 133, 147, 153, 853
- Woodleigh Stnバス停で下車すると便利
Bartley Road 沿い
- 停車する主なバス番号:28, 93, 158
- 公園の北側からアクセスする場合に便利
観察のアドバイス

ベストシーズン
渡り鳥を狙うなら、北半球が冬になる11月〜2月頃が最も賑やかで、
Bidadari Parkのベストシーズンといえます。
この時期は種類・個体数ともに増え、短時間でも複数種に出会えるチャンスが高まります。
ヒタキ類は10月〜12月にかけて多く、渡りのピークに合わせて観察しやすくなります。
また、アカショウビンやミナミヤイロチョウは3月中旬頃まで滞在することが多く、シーズン後半でも十分にチャンスがあります。
さらに、10月前後(渡りの入り)と3月(渡りの終盤)は“当たり年”になることもあり、珍しい種が入る可能性も期待できる時期です。
観察場所

Bidadari Parkで効率よく探鳥するなら、エリアごとの特徴を押さえておくのがおすすめです。
まず、公園内の湿地帯であるMarshlandエリアは、
アカショウビンやカワセミ、ヤイロチョウなどがよく観察されるポイント。
水辺周辺の枝や低木にはフライキャッチャー(ヒタキ類)も集まりやすく、
特に渡りの時期は見逃せないエリアです。
一方で、森林エリアではシロクロコサイチョウや猛禽類など、
やや大型の鳥たちに出会えるチャンスがあります。
また、公園内に点在するイチジクの木は重要な餌場となっており、
タイミングが合えばさまざまな鳥が集まってくることも。
実がなっている木を見つけたら、少し立ち止まって観察してみるのがおすすめです。

まとめ
今回は、シンガポールの中でも多くの野鳥が集まる、都市型の探鳥スポット
Bidadari Park(ビダダリパーク)をご紹介しました。
リニューアルオープンからまだ間もないこの公園が、今後どれだけ多くの鳥たちにとって「安全な中継地」として定着していくのか、とても楽しみな場所です。
渡りのシーズンにはもちろん、年間を通してさまざまな鳥に出会えるのも大きな魅力のひとつ。
また、公園周辺にはモールやホーカーもあり、食事に困ることはありません。
観光地からは少し離れたローカルエリアですが、アクセスも良く、拠点としての利便性も十分です。

シンガポールで効率よく野鳥を観察したい方は、ぜひ一度訪れてみてください。
